男性の部下に育休を取得したいと言われた上司がやるべきこと・やってはいけないこと

部下に育休を取得したいと言われた上司がやるべきこと やってはいけないこと 育児休業

 近年では、男性の育休取得が話題となっていますが、それでも男性の育休取得率はまだまだ低いのが現状です。“男性が育休を取りやすい体制を整えている”とアピールしている会社であっても、まだまだ「現場」に浸透していないことも多々あります。結局、制度があっても使えない「日本企業の風土」が色濃く残っているためです。

 今後、人手不足が深刻化し、多様な働き方が出てくる中で、こうした風土を変えていくことは企業にとっても非常に重要なことだと思っています。では、どうしたら男性の育休取得など多様な働き方ができるのか、それは上司や職場の理解が必要不可欠です。そこで、今回は、「部下に育休を取得したいと言われたらやるべきこと・やってはいけないこと」を紹介します。

<やるべきこと>

 部下から育休について相談を受けた場合、やるべきことは部下が育休をスムーズに取得できるよう環境を整えることです。冒頭にも述べた通り、育休取得は上司・職場の理解が必要不可欠ですので、部下本人としっかりと情報共有をして環境を整えましょう。

〇取得時期・期間を把握する

 まず取得時期・期間をしっかりと共有しましょう。産まれてすぐにとるのか、奥さんと入れ替わりでとるのか、など家庭によって様々です。また、期間も1か月なのか、1年なのかによっても対応が変わってきます。そのため、まず最優先でこれらを把握しておきましょう。

 注意すべきケースとして、出産後すぐに取得予定で実際の出産が予定日からずれた場合が挙げられます。出産日が予定からずれた際に、育休もずらして取得するのかどうかをしっかり確認しておきましょう。
 ※これは産休からそのまま育休に入る女性とは異なり、男性会社員特有の課題ですので、覚えておいて損はないと思います。

〇業務調整を行う

 部下の育休取得が決まったら、業務調整の準備を行いましょう。そのためにまず育休取得を行う本人には引き継ぎ書の作成を指示しましょう。業務量に応じて、業務の取捨選択や人員補充などの対応が必要になるかと思います。しかし、ここで、注意しなければならないのが、取得者の業務を周囲に丸投げするという対応方法です。これでは、周囲の負担が大きく、かつ、育休を取りにくい雰囲気を作り出してしまいます。業務調整が難しいのは部下も重々承知していますが、後ろめたさなく育休を取得できるような環境整備をぜひよろしくお願いいたします。

〇部下に必要書類を提出させる

 育休の取得時期などが決まった後は部下に必要な書類を提出させましょう。必要な書類などは育休を取得する本人に手配・作成させるのが基本ですが、提出漏れがないかのケアは忘れずに行いましょう。なぜなら、部下が書類提出漏れなどがあった場合に、上司が代理で提出しなければならないといったケースもあるためです

〇緊急時などの連絡先や対応を共有する

 業務とは別に緊急時や各種申請の都合で会社と育休取得者が連絡を取ることは十分に考えられます。そのため、育休取得中の連絡先を事前に共有しておきましょう。また、緊急時の連絡や対応をどうするのかも忘れずに対応しましょう。
 (連絡フローから外すのか、情報共有のため入れたままにするのか など)

<やってはいけないこと>

 上司として行ってはいけないことは、部下に育休を取らせないことです。これは直接的に取得を妨げるだけでなく、取りにくい雰囲気を作り、取得を妨げることも含みます。今回は取得を妨げるような上司の発言をまとめました。

〇男性が育休取れるの?

 驚くべくことに非常に多くの方にこの質問をされました。世の中では、男性の育休義務化が話題となっている中で、自分の会社にどんな育休制度があるのかを知らない上司は非常に多いです。それどころか、男性が育休を取得できるということすら知らない上司もいます。その企業内のすべての制度の詳細を理解することは困難ですが、部下が利用しそうな制度にどんな制度があるのかを上司が知っておいてくれると部下は非常に頼もしくなります。

〇なんで?

 女性が出産する際には、産休と合わせて育休を取得することが多く、その際に、「なんで育休とるの?」など聞くことはほとんどないと思います。つまり、「男性=外でお金を稼ぐ」、「女性=家を守る(家事・育児)」 という考えが根底に残っているからです。しかし、最近は共働き家庭が増えてきており、女性も男性と同等以上に稼ぐことができる時代です。そのため、夫に外で稼ぐよりも家庭の手伝いを望む家庭や、奥さんが早々に仕事復帰し夫が育児に専念するスタイルの家庭も出てきています。そうしたライフスタイルの多様化から制度を利用していることも多くなってきています。また、そもそも制度を利用するのに要件さえ満たしていれば理由は不要です。制度利用の際に「なんで?」という質問は部下から見ると、「男が何で育休を取得するのか理解できない」という考えを持つ上司に見えてしまいます。

〇業務どうするの?

 実際にされると最も厳しいのがこの質問です。はっきり言って、どうしようもありません。人事権を有している役職であるならばともかく、ほとんどの会社員(特に育休取得を考えている年代)にはそのような権限はなく、かつ、育休で不在の期間の仕事を事前に終わらせておくことも不可能です。そのため、この質問をされてしまうと、結局、どうすることもできず、育休をあきらめざるを得ない状況に追い込まれます。本来、こうした部下の不在時の業務調整は管理職の仕事です。育児休業などを取得する部下に業務について追及するのではなく、早い段階で部下と連絡を密にとり、上司(管理職)にて業務調整をお願いします。また、安易に 業務調整=周囲に振る というのも考え物です。結局、他人に迷惑をかけるという思いが生じ、部下は育休が取得できなくなります。これは部署のみの対応では難しく、そうならないような業務調整ができる会社体制が今後重要になるのではないでしょうか。

〇祖父母にお願いできないの?

 これまでの日本のライフスタイルでは、里帰りで出産し、そのまま育休に入るなど祖父母(管理人世代から見て親)の支援を受けながら育児をすることが多かったと思います。しかし、現在の30代夫婦の両親であれば、再雇用制度のなどの充実により祖父母世代もまだ現役で働いていることが多くなっている状態です。そのため、祖父母世代の支援も多くは望めません(できたとしても有休の範囲内です)。そうした社会構造の変化もあり、男性社員も育休を取得しているのです。そうして社会構造の変化も理解していただけると幸いです。

まとめ

 さて、今回は部下の育休取得時に上司がやるべきこと・やってはいけないことについてまとめました。上司の立場からすれば自分たちの世代の価値観とは異なるため、部下の価値観のすべてを理解するのは難しいとは思います。一方で、男性社員が育休を取得するためには、上司・職場の理解が必要不可欠です。

 確かに育休取得期間は人員不足となり、業務上厳しいかもしれません。しかし、育休から復帰した社員は新しい価値観と共に戻ってきてくれます。それは部署に新しい影響を与えてくれます。そういったプラス面も考慮いただき、男性の部下から育休を取得したいと言われたら温かく相談に乗ってあげてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました